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あさじむおう

Author:あさじむおう
文章荒れまくってるブログですが
いつもボロボロになった1日の終わりに
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さまざまな活動報告や、映画、音楽の感想を中心に。

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「ルナティック・ワンダー」没原
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 なんかFunfictionなんとかと言うサイト? からツイッターのフォローをされたみたいですので、せっかくなので。

 四月、ラノベの賞にでも送ろうかなぁと書いていたら、祖母の入院(その後、二ヶ月で逝去)があって中断になってしまって放っておいたもの。
 なんか色々とマズい箇所が……というか、マズい箇所しかない気がする。笑

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 まぁ、それはそれとして露天風呂である。
 廊下に出てからの出来事は、確かにちょっと薄気味が悪かったけれども、下手に人間味のある幽霊に比べればUFOだのなんか良く分かんない虫だのは恐怖度は低い(当社比)。
 僕はさくっと気分を入れ替えて……と言うかむしろ気分を入れ替える為にこそ、露天風呂に入りに行ったのだった。
 脱衣場……。まずは自分の使う籠を決める。僕しかいないので、棚の上に並ぶ、どの籠を使っても良い。ここはやはり四段あるうちの上から二段目、胸の高さの一個が出し入れし易くて良いだろう。浴場へと続くガラス戸になるべく近い場所がいい。となれば、やはり一番端であろう。
 そうそう、貴重品入れの金庫的なボックスが、この旅館にはある。他に誰もいないとは言っても、やはり貴重品は、ここに預け入れておくべきである。ちなみに貴重品入れのない旅館や立ち寄り湯なんかの場合には、クリアケースの中に貴重品を入れ、そのクリアケースを桶の中に入れて浴場に持ち込むようにしている。スーパー銭湯や銭湯のように鍵付きのロッカーになっているのが一番、楽かもしれないけども、それではやはり風情がない。ここの貴重品入れはダイヤルロック式で、鍵を持って入浴する必要はない。こういう所の鍵というのはゴム紐なんかの輪っかがついている物なんだけれど、それは腕などに輪っかをハメて鍵をなくさないようにするためだ。ちなみにホモの人の世界では、浴場でロッカーの鍵を足首にハメているのは「私は仲間です」の合図だそうで、僕はそれを知らないで足首にハメていたらサウナで迫られてしまって、危うく僕自身の鍵孔に血液の充満した極太KEYを、うぐぅっと言う悶絶の声とともにハメられそうになった事がある。もう少しで世に言う鍵っ子になりかけた。
 丹前を脱ぐ……。畳んで、籠の中へと入れる……。
 帯を解く……。ああ……。うっとりとする瞬間。アア……好い……。昨日の昼間までは温泉はもうコリゴリだと思っていたはずの僕だけども、やはり、この帯を解く瞬間の陶酔は何物にも代え難い魅力がある事を認めざるをえまい。ああ……Ah……嗚呼……。僕は今、大変に夢見心地だ。これから温泉が待っている。ちゃぷんと湯につかる自分を想像するこのドキドキ感もまた何物にも代え難い魅力があると認めざるをえまい。夕食前にも入ったけど、それはそれ。深夜に一人で入る温泉、そのラグジュアリーな独占の快感も、やっぱりまたしても何物にも代え難い魅力があると認めざるをえまい。浴衣を脱ぎ、畳み、籠の中へと入れた。
 あ、でも……明日になったら(時間的には今日だけど)、竹子さんに巨大な虫が出たって事、言った方がいいんだろうか。なんてちょっとだけ素に戻った事を思いながら、下着を脱ぐ……。
 そして、僕は全裸になった。洗面台の前の鏡に映る、自分の体。裸体。自分で自分の体を見てウットリとする事はないけれど、この体を求める男女が多いのは止むない事だ。幼少の頃よりマニアの両親による適切な入浴法指導の元で日本各地の温泉に浸かって来たきめの細かい肌は十五という若さもあってツヤツヤと少年美を高らかに歌い上げている。鹿も通わぬ山中の秘湯を巡る事で鍛えられた筋肉は適度に発達し、一個の芸術として完成度の高い絶妙なプロポーションの形成に役立っている。そうだ、もしも女性といちゃいちゃするのが法律的に全面禁止になって、エロ本やエロマンガも全面禁止になってしまう世の中が来たとしたら、世の男性達はこぞってレイプ魔か凶悪連続殺人鬼になるだろうと思われるけれど、その時には、僕は自分のエクスタシー的な裸体をデジカメで撮ってそれをオカズにする事で危険な鬱屈をやり過ごそう……。あれ? でも自分の体の画像って、ワイセツ画像の単純所持に当たるのかな……?

//タオルは~ 太字で。

 さて、ここでひとつだけ注意しておかなければならない。タオルは脱いだ衣類の一番上だ。大抵は手に持っている物だから、一番初めに籠に入れてそのまま上に浴衣やパンツを置いてしまいがちだが、それだと風呂から上がって来た時にちょっと困る。タオルを籠から取る時に、濡れた手で浴衣や下着を押しのけなくてはならなくなるからだ。せっかくの湯上がりほんわか気分にケチがついてしまう。 
 一番いいのは手桶などにタオルを入れて浴室まで持って行く事だろう。入浴のマナーとして、脱衣場に上がる前に体は拭くべし、と注意書きの掲示されている浴場も多い。ベストは、体洗い用の手ぬぐい等と、入浴後に体を拭く用の二枚装備で入浴に望む事。よく絞った使用後の体洗い用の手ぬぐいで、水気を一応拭き取ってから脱衣場に上がり、籠に入れておいた乾いたタオルで体を抜くのだ。
 しかし、大抵の入浴者は、そこまで準備が良くない。体を洗うために使うものは吸水性のあまり良くないメッシュ地や、合成繊維のスポンジの人が多いし、ちょっと粋な人なら天然海綿を使ったりもする。また、手の平に石鹸やボディソーブをつけて体を洗う人も多い。
 風呂から上がった後は、そのまま脱衣場へ行き、乾いたタオルで一気に水気を拭き取りたい。そう考えるのは客のワガママではあるかもしれないけど、入浴者としては自然だ。なぜなら、それが現代日本での大抵の人の自宅での入浴の手順だからだ。一般的な人の、公衆浴場の年間利用率はそれほど高くはない。
 もちろん、ビショビショの体で脱衣場に上がれば、床に水たまりが出来てしまい、他の入浴者の迷惑になる。そこで僕などは出来る限り浴室へのガラス戸に近い籠を狙う訳だが、いつもいつもその位置の籠が空いているとは限らない。
 もし水たまりが出来てしまったら。
 慌てる事はない。大抵の浴場では脱衣場のどっかその辺りにモップが置いてある。体を手早く拭いてから、それで床を拭こう。この脱衣場にも角の方にモップが立て掛けてあるのを、僕は既にチェック済みである。ぬかりはない。
 露天風呂へと続くガラス戸を、からり、と開ける。良い音だ。これより先は、旅館の建物の外。石畳の上へと素足を降ろす。
「ふぅ……寒いな……」
 あと数日で四月だと言うのに、春はまだ遠い。もうもうとした湯煙の向こう、岩組みの湯船へと注ぎ込まれる湯の音が夜を震わせ響いている。一〇〇%源泉掛け流しだと言うのだから大したものだ。どこかでフクロウが鳴いた。ホホウ、ホホウ……。ここが神奈川県の沖積平野の元住宅街で藤沢とかすぐ側だとは信じられないような、そんな野趣である。
 まずはカランのある場所へ行き、体を洗う。別に洗わなくても良かったのだが、なんとなく髪も洗う。リンス・イン・シャンプーとボディソープはカランの上に備え付けられており、墨の香りのする物である。隣のカランの上にはアロマ配合のものが置いてある。ちなみにカランというのは蛇口の事だ。風呂好きなら覚えておきたい用語の一つである。

//要チェック 掛け湯? 

 露天風呂に入るだけであれば、まずは掛け湯をするべきだけども、体をシャワーのお湯で洗って温めたので省略。カランの湯を止めた後、僕は湯船へと向かった。ちなみに掛け湯には、体の汚れを落とすだけではなく、急激な温度変化による血圧上昇を防ぐという健康上の理由があり、重要である。
 湯船に浸かる……。
「ああ……ん」
 つい、エクスタシー的な声を漏らしてしまう。湯の中に片足を忍ばせ、もったいぶりつつ次第に体を埋めて行く、肩まで沈めて行く間のこの穏やかな興奮もまた、他の何物にも代え難い魅力があると言わざるを得まい……。
 いい湯だ。
 そういえば「温泉の成分、禁忌症及び入浴又は飲用上の注意の掲示」を読むのを忘れていた。これは、温泉法によって利用者の見易い場所に掲示することが義務づけられている、その名の通りのその温泉の成分と、入浴、飲用の際の注意を書き記したもので、大抵はフロントや浴場の近くに額に入れられて掲げられている。この『旅館黒鷺』ではフロントにあったけど、細かい字が並んでいるものなので、僕の両親レベルのマニアでなければ、まぁいいかとスルーしてしまう場合も多い。
 日本で一番多いのは食塩線……ナトリウム-塩化物泉……だけれども、シュワシュワと炭酸成分の気泡が立っているようだし肌がヌルヌルする感じがあるから、重曹泉かも知れない。しかしどことなく硫黄臭もある気がする。湯色は透明だ。
 ちょっと脇へ目を向けると、白と緑と赤紫のペンキが流れかかったような岩がある。温泉水の注ぎ口の下だ。
「おお……バイオマットか……」
 バイオマットと言うのは、温泉水と接触する岩石などの表面にできる、バクテリアなどの微生物の皮膜層だ。一見、不潔なように思われるかもしれないけど、この温泉が活きた……生の温泉である証拠だ。
 でも……昼間は気がつかなかったな……いや、待て。あの岩は確かにあったぞ? 「ひだまりスケッチ」というアニメに出てくる校長の頭に似ていたので校長岩と心の中で名付けた岩だ。けど……バイオマットあったっけ?
 それにしても、シュワシュワと来る。重曹泉は大深度掘削による非火山性温泉で多く見られると言うから、この六会温泉もやはり非火山性と言う事でいいのだろう、きっと……。あまりにもいい感じのシュワシュワなので、僕はちょっと歌いたくなった。
「……シュワシュワ~……シュワシュワ~……♪」
 炭酸がシュワシュワくる様を音階として表現したものだけれども、どっかで聞いた事があると思ったら、アニメ「ひだまりスケッチ☆☆☆」のオープニングソングだった。そのまま続ける。
「シュワシュワ~♪ はい! シュワシュワ~♪ はい! なンないろ~ うぉう! モーニンシャワー♪ おンはよぉ~♪ はい! おンはよぉ~♪ はい! おおきなこンえ~出ァしーてー♪ とくらぁ……!」
 何しろ温泉に浸かっているのでコブシが回る。BPMもだんだんと原曲より低めになっていく。
 僕はアニメにはそれほど詳しくはない。しかし、この「ひだまりスケッチ」だけは、シリーズの一番最初からずっと見ている。なんかとてつもなくアーティスティックな空間で日常の割とどうでもいいような些細な光景を描くというシュールさに唖然として、つい翌週、また翌週、と見てしまい、そのうちにクセになった。どんな番組かと思われる方もいるだろう。実際の所はとても温かで適度に癒される番組だ。制作会社が忙しいのか、時折、絵が適当になっている回が見受けられるのが難点だけど、ネットの情報によるとDVDとかになる時には結構、描き直されたり描き加えられたりしているらしい。伝説にすらなった「富士山」の回が入っている巻をツタヤで借りて見たら、確かに大幅に描き加えられていた。特に印象的だったのは、銭湯の壁画として書かれた富士山が、文字から絵に変わっていた事である。非常に気合いの入った富士山の絵だったけれども、制作した人たちも、よっぽどなんかこう……気持ち的にこう……あったのだろう。
「鉛筆たてたら……んんんんんーんんんんー♪ ごまーかーす♪」
 なんか途中で分からなくなったので飛ばした。良くある事だ。
「……ふっとらないで~♪」
 しかしオープニングソングの歌詞のこのくだりはヒロさんに対する嫌がらせだろうか。ヒロさんというのはこのアニメの主要キャラクターの一人で、そんなに太っていないと思われるのだけどいつも自分が太っていないか気にしている、良妻賢母的な存在の高校三年生で、僕の王女様候補の一人である。僕はああいう優しいお姉さんタイプの女性がやっぱり好みだ。ただ口惜しい事に、彼女は二次元人僕は三次元人で、接触の機会すらない。
 僕の歌に触発されたのか、シュワシュワが強まった。
「ははは、くすぐったいよ、気泡さんたち」
 ……と思って目を向けたら、炭酸のシュワシュワではない何か非常に小さなものが、湯の中で僕の乳首をつついていた。
 ……生き物?
 温泉に生き物は珍しくない。校長岩のバイオマットを形成しているバクテリアももちろん生物だけども、オンセンバエやオンセンアブなどの昆虫、巻貝などが住む事もある。
 手で一匹、お湯ごとすくいあげて、目を近づけてみる。
「?」
 見た事のない生物だった。体長は小指の先ほど……より小さい。色は透明に近い白。……虫? 虫っぽく見えるのは外骨格で脚と体が虫っぽいからだ。後ろへ行くに従って細くなる、幾つもの節に分かれた体に、なんかたくさん脇毛的なものが生えた脚がある。……エビ……的なもの? いや、どうみたってエビじゃない。頭には体の後ろまでなびく、やたら長い触覚が二本。ふよふよしている。もう一対、脚とは違うおそらく触覚? があって、そっちは先っぽに毛がわしゃわしゃとついていて丸ブラシっぽくなっている。でも、一番の特徴は、その頭の形状だ。先細りになっていく角みたいのが、箱形に近い頭の左右から出てカーブして後ろへとたなびく大きなU字型のが二本、頭と体の境目辺りから枝分かれて幅の狭いU字型に後ろへマフラーのようにたなびくのが二本の計四本、のびている。
 一言で言えば、宇宙生物である。本当に宇宙生物かどうかはともかく、そういう感じの格好である。でもやっぱり昆虫っぽくもあるから地球で生まれ育った生物だとは思う。
 からり……。
 ガラス戸が開く音がして、そこへ目を向けた僕は、謎の宇宙生物を湯船の中へ落としてしまった。
 湯煙の向こうに女の子が見えた。
 一糸まとわぬ生まれたままの姿であるらしかった。背丈の低さからすると、うちの妹と同じぐらいの年齢……小学生であった。
 あれ? ここ、混浴だったのか?? と混乱したけども、小学生も低学年なら男湯に父親と一緒に入ってくるのは良くある事だ。彼女はどうやらギリセーフな裸身であるような気がしないでもない。なんか願望が認識に強く作用している気がしないでもないけれども、ギリセーフであって欲しい。しかしやがて、僕は現実の厳しさを思い知らされる事になる。
 彼女は小学生ではなかったのだ。
 っつーか、よくよく考えてみれば、うちの妹も今年で四年生だからアウトなんじゃないかと思うけど。温泉番組出演の際には、そろそろバスタオルつきで湯船に浸かって欲しいと思う……。
 掛け湯を数回浴びてから、彼女は僕の浸かっている湯船へとやってきた。
 現実はテレビの温泉番組やアニメじゃない。湯気は……いい仕事などしてくれない。湯煙を分けて近づいてくるにつれ、彼女のあられもない裸体が露になってくる。
 僕は、彼女を知っている。
 彼女も僕を知っている。
「さぁってオングちゃ~ん、いよいよ露天風呂だよ~。源泉一〇〇%だって~。楽しみだね~」
 声が聞こえた。昼間とは口調が随分違って柔らかいけれども、それは胸に抱いたジュディー人形に話しかけているからだろう。ジュディー人形のおかげで淡いピンク色の可愛い突起が見えないのは倫理的にナイスだった。どうして淡いピンク色だと分かったかというと、隠れているのは片側だけで、もう片側はバッチリ見えていたからだ。
「うん、うん。そうか~、だよね~」
 彼女はオングちゃんと楽しく会話?しながら、僕の方へと近づいてくる。楽しく会話しているので、僕の事など見えていないらしい。
 一体、どうしたものだろう。パッと湯船から出て、何事もなかったようにパッと浴場を出てしまうべきだろうか。それはナイスなアイデアだけど、ただ、ひとつだけ問題がある。
 僕の下半身は平常モードではなかったのだ。
 僕の好きな女性のタイプは、癒し系王女様である。故に、どちらかと言えば年上のお姉さんが好きなのだ。しかし、それはそれとして、女の子の裸を目にすれば然るべき元気な反応を起こしてしまう。僕は結局、健全な男の子だ。
 しかしだからと言って、温泉や銭湯に父親と一緒に入ってくるほどの小さな女の子に対してエレクチオンはしない。あれぐらいの子供は何を考えてるか分からないし、壊れ物を扱う感覚になってしまってハラハラしてしまう。だから、むしろそういう小さな女の子はセーフなのだ。僕的に、ではあるけども。世の中広いもので、そういう小さな女の子にはハラハラではなくハァハァするド変態もいるらしい。
 逆に言えば、彼女……瑪瑙の裸はセーフではなかった。背丈は確かにうちの妹と同じぐらいだろう。しかし、その胸はうちの妹よりも大きく、決して豊かとは言えないが指を広げた手でジャストフィットさせてフニフニとしたら気持ちいいだろうな、と思えるお椀型をしている。これはダメだ、もうダメだ。確実にアウトだ。お父さんと一緒に男湯には入れない体だ。加えて意志の強さを感じるような彫りの深い顔。これはマズい。何がマズいって、既に一個の人格が確かに形成されているという証に見えてしまい、ハラハラするような危うさがない。つまり、合意の元であればしちゃっても大丈夫的な感じに思えてしまう。昼間は青少年保護法で捕まりたくないから手は出すまいとか思ってた気もするけど、あの時はこの生ボディは拝めてはいなかった。錯視-そう、コンポジションによって形状から受ける印象は変わる物だ。
 手ぬぐいさえ……手ぬぐいさえあれば、このエレクチオンにあてがい、事実を隠蔽したまま浴場を出て行く事も出来たろう。これは、入浴マナーを知りながら無精をした僕への天罰かもしれない。
 今、僕はまごうかたなき変態だ。
 女の子の裸を見てエレクチオンするのが男の子の正常な反応であるのが厳然たる事実ではあっても。
 先に入っていたのが僕で不可抗力だというのが事実ではあっても。
 この状況では変態は確実に僕の方だ。
 彼女のつま先が湯面を割って入って行く。僕のすぐ目の前での出来事である。
 もう立ち上がる事も出来ず、彼女の一挙手一投足を見つめている僕の股間は今や狂気の山脈。
「ん……。いいお湯だね~、オングちゃん」
 彼女はジュディー人形に話しかけているので、全く僕に気がつかない。
 出来る事なら上がるまで、いや上がってからも永遠に気がつかないでいて欲しい。
 太ももが……股間が……ごくり。……尻が……腰が……胸が……ゆっくりと湯の中に沈んで行く……。ああ……そうか、昼間見た時は背中まであった髪の毛は手ぬぐいで縛って高い位置のポニーテールにしているのだな……うなじが……ごくり。
 と、その時。
 ……ひっ? ひぇっ?
 ついうっかり声をあげそうになってしまった。僕の屹立したエレクチオンに、なにやら新たな刺激が。
 慌てて股間に目を向けると、さきほどの宇宙生物である。しかも仲間を呼んで来たらしい。そびえる断崖の天辺に顔を出した赤色の露頭を、エサかなにかと勘違いしているのであろうか。わしゃわしゃとやってきて、みんなで仲良くツンツンアタックを繰り返している。
 あっ、ばかっ、こらっ! ツンツンするな、宇宙生物達よ! そこはマズい、地球生物、そこは非常に弱い! あああっ! らめっ、らめらってばぁっ!
 やがて、宇宙生物たちは僕の狂気の山脈に脚をおろし、ブラシつきの触手で僕の赤色露頭をワシャワシャと擦りはじめた。どうやら、このブラシ付き触手は、エサをこそげ落として口の中へとかき込むための物らしい。いや、もはやこの際、どうでもいいような事ではあるけれども。
 何しろ敏感な部分だ。優しいタッチのサワサワとした愛撫の群舞が、とても気持ちがいい。
 せめて黒湯……出来れば白濁湯であったのなら、ごまかしも効いたはずだ。しかし、運の悪い事に、ここの湯は無色透明で視界はこの上なくクリアーである。
「ふぅ……」
 吐息を漏らした彼女の顔を見ると、とても幸せそうだった。
 対する僕の顔はきっと、幸せ過ぎて苦しそうだろう。
 やり過ごせ、このままなんとかやり過ごせ……。そうだ、僕は岩になるのだ。やれる、僕ならやれる……。無念無想……ああ……尺八の音がどこかから聞こえる……。よし、行ける。行ける気がしてきた。僕は岩だ。岩となった僕の体にはバクテリアがバイオマットを形成するだろう。そうして僕はこの温泉の一部となる。そして何百何千何億年という時が流れるだろう……やがて僕は地球の一部となるだろう……。
「ひッ!」
 彼女が僕を見てノドに詰まった悲鳴を上げた。思いっきり引いたので、じゃぶっ、と湯が跳ねた。
 分かってはいたけれども、どうやら僕の努力は徒労だったようだ。
 とりあえず、何か挨拶的なものをした方が良いのだろう……。僕の顔に注意を向け、股間の方へは目を向けさせないためにも。
「や、やぁ……」
 この時の僕がどんな顔をしていたかは、読書諸兄のご想像にお任せしたい。男子であれば詳細など書かずとも行間を読んでくれると期待している。もしこれを読んでいるのが女子であるのなら、彼氏なり好きな男の子なりに訊いて欲しい。その質問が、その後の二人の甘い愛の営みの一助となれば幸いである。
「なっ、なんなの……? ちょ……」
 彼女は、恐怖に顔を引き攣らせていた。それはそうだろう。いたって正常な反応だ。
「この露天風呂……混浴だったみたいだね。ははは……」
 僕は僕で顔を引き攣らせていた。
「そういえば……女湯とは書いてなかった……けど……も」
 正直に言えば自信がなかったのだけど、どうやら僕が間違えて女湯に入ったわけではなさそうだった。良かった。
 ふと、何かに彼女が気がついた。一瞬、大きく目を見開いて、彼女はその視線を斜め四五度に下げていく……。
「あーっ! 見ちゃらめぇぇぇっ!」
 と叫んだが遅かった。
「ひィィィィッ!」
 彼女もまた、叫ぶ。
「こ、ここここれ……は、その……」
 言い訳をしたいのだけど、弁明の言葉もない。何がどうなっているのか、湯船の中で宇宙生物にワシャワシャされてそそり立つ僕のクレイジーマウンテンが何より雄弁に真実を語ってしまっている。
「ちょっ、なにチンチン勃たせてるわけ? もっ、信じらんねぇっ!」
 頬を紅潮させつつも彼女はそれをガン見している。ガン見しながら怒っている。
「いや、だって、その……君があまりに魅力的過ぎるから……」
 自分でも何を言ってるのか良く分からないけど、しかしまぁ、この勃起が彼女のせいであるのは明白で、決して嘘ではない。
「……」
 彼女は大変に嫌な顔をした。基本、般若の形相で口元だけが半笑いと言ったら分かり易いだろうか。
 そのまま、何秒、何十秒、何分、の時間が流れただろうか。永遠とも思えるその時間を、僕は宇宙生物のお熱い攻撃に耐えつつ、彼女の冷たい凝視に耐えた。
 やがて、彼女は呆れたようにこう言った。
「いいけど……」
「えっ? いいのっ?」
 思わず聞き返してしまった。
「イケメンだから許しとく。でも射精はやめてよね。ここ湯船なんだし」
「もっ、もちろんだよ! えーと……」
「メノウ。樫乃木瑪瑙。カシノキ、じゃなくって、カシノギだから」
「僕は岡野翔」
「岡野くん、ね。分かった」
 これが、僕たちがお互いの名前を知り合った瞬間だった。この時、僕の股間はエレクチオンしたまんまだった。
「……それにしても見事なチューブワームだねぇ、これは……。ねぇ? オングちゃん」
 僕の顔から股間へと再び視線を移し、瑪瑙が言う。彼女と同じように肩まで浸かっているジュディー人形の視線も僕の股間に向けている辺り、芸が細かい。
「チューブワーム?」
 聞き慣れない単語だったので、僕は聞き返した。
「和名はハオリムシ。主に深海の熱水噴出孔に生息する生物だね。ちょうどそんな感じの紅色をした頭を、そんな感じの管の先端からピョコっと覗かせたりするお茶目な生物」
「あ……っ。それで……」
「ん? なに?」
「ああいや……熱水噴出孔って海の温泉な訳で……」
「うん、まぁ、そうだね。温泉って、原始地球の環境に近いって言われてるし、例えば、そこにバイオマットあるけど、これはストロマトラ……」
「なんかさっきから宇宙生物っぽいのが僕のチューブワームにたかってて、そういう場所に生息してるような生物なのかなぁ……と」
 彼女の話を遮ってしまったのは、たかってる宇宙生物が送ってくる心地よいヴァイブが僕を苦しめているからだった。何か話して気を逸らさないと、阻止限界点を突破して六会温泉の成分に動物性タンパク質が加わってしまいそうな、そんなグッド・バイブレーションだった。
「え? うそ?」
 瑪瑙が聞き返す。
「ちっさいから、そっからだと見づらいかも。もっと顔近づけないと……」
「……」
 瑪瑙が呆れた顔をした。
「あああっ! そんなつもりじゃなくって!」
「もう……出したきゃトイレでも行ってヌイてくればいいじゃんよ。我慢しないでさぁ」
 どうしてこの子はこう表現が直接的なのだろう。この流れでそんな言われた方をしてしまったら「じゃ、ちょっと失礼して……」なんて風には、余計に行かないじゃないか。繊細な男心を全く分かっていない。
「そんなんじゃないってば! 本当にいるのっ!」
「そんな事言って、私が顔近づけたらドピュって顔射しようってハラなんでしょ? 分かってんだから。見え透いた手だよねー、オングちゃん」
「違うって! って言うか、女の子なんだから表現抑えようよ!」
「あ? なにそれ、私が下品だって言いたいワケ? ちょっとヒドくね? これでも淑女のつもりなんですけど」
「……」
 そうか、淑女のつもりなのか。
 まぁ、そういう事にしておこう。顔の造形に関してだけは間違っていない気もするし。
 と、僕が思っていると、瑪瑙は言った。
「いるって言うんなら、手ですくってみせてよ」
「え?」
「できるでしょ? 本当にいんならさ」
「そりゃ、できるけど……」
「ん? なに? できるけど、なに?」
 宇宙生物たちは今、僕のチューブワームの紅い先端にひっしと足を下ろしている。これをすくいとるには、手でこそげ落とさねばなるまい。これを手でこそげ落とす、と言う事はつまり、破裂しそうな僕のエレクチオンに、上下運動の刺激を与えると言う事と同義である。それは、ややもすればポンペイを火山灰の下に埋めたヴェスビオ火山の噴火に劣らぬ大噴火を招きかねない危険な造山運動だ。躊躇する僕を見て、瑪瑙が言う。
「そうか。やっぱり岡野くんは混浴してる女の子の顔面に精子ぶっかけを狙う変態だったんだな。つまり君はそういう奴なんだ」
 ただ単にイジワルしているだけなのではないかと疑いたくなるけれど、瑪瑙は思いっきり真剣だった。
「わっ、分かったよ! やればいいんでしょお? やりますよ。もう、どうなっても知らないからな?」
 ごくり。
 喉を鳴らして、覚悟を決める。
 大丈夫、大丈夫だ。イジャキレーションさえしなければいいのだ。そーっと、そーっとやれば……平気だ。注意して……よーく注意して……。目的を間違えるんじゃないぞ。宇宙生物を一匹、一匹こそげ落とし、手中に収めれば良いのだ。手が震える。落ち着け、落ち着け、マニピュレーターの操作を誤ってはならぬ。ポイントを外すな。水圧と水流の影響を計算に入れ、冷静に、冷静に、気持ちを落ち着けて、明鏡止水の心構えでターゲットとその周囲の地形を観察し……。じーっと、じーっと噴火口の様子を観察し……。
 じーっと噴火口を観察していたら、天使の誘惑が。あ、でもひょっとしたらこれ、強く握ったり擦ったりしたら、今まで辿り着いた事のない広大無辺な光の渦の中へと飛び込めるんじゃないだろうか……?
 いいいいいいいや、いかん! それはいかんぞ、僕。ここは湯船、目の前では女の子が僕を見ている。ここでイジャキレーションしてしまったら、取り返しのつかない事になる! 僕の人生はもっと堅実なものでなければならない。そうだ、僕は将来は普通に働くのだ。何になるかは分かんないけど、就職出来た所で出来るだけ無難に人生を過ごせればそれでいいだ。僅かな一瞬のために長い人生を棒に振る事はない。だがしかし、ここでちょっと考えてみて欲しい。アスリートたちはゴールのテープを切るほんの一瞬のために、人生の時間を費やすのだ。栄光の一瞬のためだけに生きるその姿勢を嗤うような真似をして良いものかどうか。否、断じて否。そう、たたえられるべきはゴール……ゴール……ゴールの栄光。
 僕のマニピュレーターが、チューブワームの茎を、そっと包んだ。
「ひくんっ!」
 と自分でも可愛らしいと思わざるを得ない声をあげると……。
「おっ?」
 びっくりしたのか瑪瑙が肩を震わせた。
 いかん、これはもう止まらない。ああ蝶になる。ああ花になる。ああ今夜だけ、今夜だけ……。もうどうにも止まらない。
「やば……。こいつ、しごき始めてるよ……。オングちゃん、どうする?」
 呆れるような瑪瑙の声がひどく遠くに聞こえる気がする。彼女の顔を見ながらしたいけれども、それは流石にマズい……気がする。気がするけれども、このままでは、いつ何時、我知らず立ち上がり、彼女の眼前にマイ・チューブワームの先端を突き出すか自分でも分からない。そのような危険に直面する前に、今ここで一度目の噴火を行ってしまうべきであろうか。
 ……あ……もうこれは……。腰の奥から何かゾワゾワとする感覚が来た。顔面の筋肉が引き締まるような感覚と、胸がしめつけられるような感覚。これはいけない。ごめんなさい竹子さん、ごめんなさい野々宮さん、浴槽を汚してごめんなさい。それから瑪瑙、君はそんなに冷めた目ではなくせめて興味津々という感じで見つめていてくれたりなんかしちゃったりしてくれていると、僕は体だけではなく心も慰められていいと思うけど、やっぱりなんだかごめんさない。ああ……ゴールが……僕なりのゴールが目前へと迫っています。……いいよね? もう……ゴールしても……いいよね?
 そして、遂にその瞬間が訪れた。
 もうろうとした意識の中、「あ……」と、僕の声と瑪瑙の声とが重なるのを聞いた。僕は光に包まれて行く。暖かなオレンジ色の光が、僕と瑪瑙の体を包み込む。フワフワとした浮遊感が僕の体の深奥から膨らんで来て、僕は瑪瑙のいやらしい裸体と共に天空へと昇って行く。光は渦になり、その中央へと僕は飲み込まれて行く。
 オレンジの光は力を増し、輝きが全ての色を飲み込んでいく。輝く光の渦。僕の意識も精気もそして体も、その中央へと吸い混まれて行く。
 やがて瑪瑙の裸体も光に埋もれて見えなくなる。まだ硬いままの僕のチューブワームの先端の紅までが白い光に侵されて行くのが見える。
 そして僕は、真っ白になる……。

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実はこの前後も結構書いてはあるんだけども、未公開。
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